小鼓草子2020

小鼓方観世流能楽師岡本はる奈のブログです。舞台・ワークショップ・稽古場案内と日々の出来事など。横浜、相模大野、東京杉並区にて小鼓指導しております。フランス語版ブログhttps://notesdunkotsuzumi.blogspot.com/

background-size: cover; height: 75px;

能楽研修生だったころ あとがき

〜 支えてくれる存在〜

 

 

 国立能楽堂で研修を始めたときからはや十数年がたち、研修修了後少しずつ舞台経験を重ねながら勉強しつづけています。

 連載形式で書き続けてきた「能楽研修生だったころ」。

 後輩の研修生も九期・十期・十一期と続き、いずれ十二期生の募集が始まるのではないかと思った時に、今後能楽の世界に興味を持った若い人の参考になればと思って始め、途中中断しながらもコロナ禍での時間を使って書き終えることができました。

 私の体験はあくまで個人的なものなので、研修生でもみんながみんな同じではありません。ただ能の家の生まれではない一個人が能楽師になるまでを思い出せるかぎり正直に書いてきたつもりです。

 研修生として日常を送る中で、振り返ると多くの人たちと出会い、支えられて、そしていくつもの別れがありました。能楽研鑽会や青翔会でお相手していただいた先生方の中には今の私を雲の上から見てくださっている方も多くいらっしゃいます。

 あのころ一人で一生懸命もがいていたようで、その実たくさんの人に見守られて育ててもらったのだと思います。研修時代のつらさも孤独感も、稽古もすべて今に生かされている、いや生かさなければと思い日々を過ごしています。

 昨年からのコロナ禍で伝統芸能も大きな打撃を受けつづけ、それでなくても後継者不足や舞台環境の変化は見過ごせない問題です。未だ保守的で、厳しい世界だと思いますが一方でそれを変えていかなければと、それぞれが思って努力をしています。 

 

 だれにも相手にされなくても 自分の道をすすめばいい

 いろいろ言われてへこんでも 気にせずに

 くじけそうでも 誰かがみてくれている

 だれにも認めてもらえなくても すきなことをやればいい

 

 大好きな歌のなかのフレーズです。研修生の日々は遠くなりましたが、日々この言葉を胸に、くじけそうな時は思い出しています。

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。