小鼓草子2020

小鼓方観世流能楽師岡本はる奈のブログです。能楽舞台告知、稽古場案内等致します。横浜、相模大野、東京杉並区にて小鼓指導しております。

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能楽研修生だった頃⑨

〜初舞台〜

舞囃子は、能の一曲の一部分をおシテが装束なしで舞うので「能のデッサン」とも言われますし、「能のエッセンス」を味わうものと考えても良いかもしれません。

地味といえば地味、好きな方はとても好きだそうです。初めて能楽に触れる時は、装束付き(できれば解説も付き)の短めのお能1曲を観たほうが面白いかもしれません。

 私が初舞台で舞囃子を打った「桜川」は、川面に流れる桜の花びらを掬いながら子どもへの想いを詠うという、とてもきれいな曲でした。研鑽会が3月半ばだったのでちょうど季節としてもぴったり。川沿いの桜を見るといつもこの曲を思い出します。

 舞台に出させてもらうようになると、囃子方の研修生としてはまずは舞囃子を何曲か舞台で打って、やがて慣れてきたら能を一曲打たせてもらう…というのがお稽古の流れでした。

 研鑽会は入場無料の発表会とはいえ、国立能楽堂の本舞台で行われ、お客さんもたくさん入ります(現在は研鑽会に当たる舞台は「青翔会」と名付けられ有料公演です)。

 当日…毎日の稽古で慣れていたはずなのに、実際に舞台に上がると、照明の明るさ、檜の舞台の木肌の白さ、地謡の先生たちの声が実際よりも遠くで聞こえ、大鼓の先生の打つひとつひとつの粒が体に響いてきて…要するに、当日舞台上の私は想像を絶する緊張状態に陥りました。学生時代にサークル活動で能楽堂に立ったことはありますが、それとは全然別。

1週間前に申合せ(リハーサル)をしてもらって、たくさんお稽古もしたのに、舞台で皷を打っている間は貧血なのか、酸素が足りなかったのか、ずっと目の前にモヤがかかっていたのを覚えています。

能舞台の空気というものを初めて感じたのが研修時代の初舞台だったかもしれません。

今でも能舞台に上がると独特の空気を感じます。初舞台の時のような緊張はそうそうありませんが(それでも、お相手や状況によってはたま〜にある)。

 因みに舞台が終わってすぐに先生から注意をいただくのですが、いろいろ怒られた中で印象に残っていたのが

「緊張しているようには見えなかったぞ、なんでちゃんと打たないんだ」

と、真顔で言われたこと。

いえいえ自分史上最高に緊張していたのですが…とは、言えずじまいでした(^^)

 

 

#今週のお題「告白します」