小鼓草子2020

小鼓方観世流能楽師岡本はる奈のブログです。舞台・ワークショップ・稽古場案内と日々の出来事など。横浜、相模大野、東京杉並区にて小鼓指導しております。フランス語版ブログhttps://notesdunkotsuzumi.blogspot.com/

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能楽研修生だった頃②

~選考試験~

私が受験した時、研修所の受験者は男女で同じぐらいの人数でした。
数は全体的にかなり少なかったそうです。
女性受験者は
大学卒業を控えた人から、ピアニストの人、
宝塚の予備校も考えているという高校生など様々な顔ぶれでした。
男性受験者は22~25歳くらいの間で
やはり大学卒業間際の人、社会人2年目くらいの人などでした。
全体的に能楽の研修生は歌舞伎のそれに比べて
年齢層が高くなりがちだそうです。
試験内容は筆記に実技、面接。
実技は謡の一節を謡ったり、言葉の謡(能の曲中セリフに当たるところ)やすり足などでした。
筆記は能楽師を希望する動機など書いた気がします。
面接は講師陣の先生方がずらりと並んで、
二階の研修舞台に呼ばれたら一人づつ、
舞台の正中に正座して質問を受けるという形でした。
今思い出すと結構すごい光景

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研修能舞台
(この真ん中に一人で正座して質問されました)

私が面接で聞かれたことは、
受験した理由、現在の仕事の内容、
研修生を卒業した後に仕事がなかったらどう生活するのか、
などという内容だったと思います。
全ての科目が終わって、合否発表まで控え室で待つこと数十分。
(後で聞いたのですが合否判定ではかなり先生方の間で議論があったそうです)
結果、男子は一応全員合格。
女子は私ともう1人の人が保留ということで別室で話をされました。
ここで聞いたのが、
現在研修の修了生でプロとして活動している女性は笛方しかいないこと、
狂言、ワキ、は女性をプロとして育てる予定はないこと、
小鼓ではプロになる可能性があるということでした。
もともと受験前に、狂言方で研修の試験を受けるということを
研修出身の狂言の人に伝えたところ
「女子は落とすよ」と言われていたので、
小鼓方という選択肢があるということはそこで初めて知りました。