普段ワークショップなどでも小鼓という楽器を説明する際に
「湿気を好む楽器です。乾燥しているところでは良い音を出すのに苦労します」
と、説明しています。ですが、この夏の湿度はかなりすごいようでお稽古されている方が皆さん口を揃えて
「鼓が上手く鳴らない」
とのこと、湿気もあまり度がすぎると小鼓の音も落ちてしまいます。
とりあえずの応急処置として、革を風に当てる、稽古の後は柔らかい布で手汗等を拭き取る、湿気が少ない場所に保管しておく等の方法はあるのですが、やはり能楽の楽器は生き物なのだなあ…と実感します。
乾燥に強い大革(大鼓)もむやみやたらと乾かしさえすれば良いというものではないそうですし、しばしば夫婦に例えられる大鼓と小鼓ですが、やはりバランスというものがどちらにも必要なようで。
つまりは人間も同じ、さて最近の私はバランスが良いのか悪いのか?
ちなみに周囲の環境が乾燥していても湿気すぎていても鼓の打つ際のコツは変わりません。それは
「肩に力をいれず、正しい姿勢で、やわらかくしなやかな力で粒を打つこと」
鼓に限らず、と思います。