〜研修2年目が始まって〜
3月の能楽研鑽会で無事それぞれの初舞台を終えた私たちは、春休みをはさんで2年目の研修を開始しました。
1年目との違いを思い出そうとすると難しいのですが、楽屋働きが去年よりも増えたり、お稽古の内容が1年目は独鼓が多かったのが、舞囃子をいろいろ稽古するようになったり、確か後見で初めて舞台の先生の後ろに座らせてもらったのもこの頃だった気がします(ここらへんの記憶は不確か)。自分が皷を打つわけではないのに、緊張のあまり国立能楽堂の切戸口から舞台に出る時に思い切り頭をぶつけてすごい音がしたことは覚えています…(切戸口を使ったのはこの時が初めてではありません)。稽古や休日の働きが増えたため、アルバイト先もパン屋さんから新宿の某老舗カレー屋さんに変更しました。
当時の写真が残っているのですが、今見ると我ながら幼い顔をしてるなあ、と思います。
銀行員時代のほうが顔つきは老けていたかも。
能楽研修生はアンチエイジング効果あり?ダイエット効果もあるような(その話は改めて)
この頃はまだ、学生時代の友人&銀行員時代の知り合いと会うことも結構ありました。
友人たちの仕事の話などを聞いていると、今の自分が学生でもなく、社会人でもなく中途半端な存在に思えて不安になりました。
研修は6年間、まだまだ先は長い。
銀行を辞める時、同期の行員に言われたことが頭をよぎります。
「岡本さん、その研修所出る時には30過ぎてるよね…」
(言外に、「そんな年でそんなことやっていて大丈夫?」というニュアンス)
能楽の研修を終えて、30過ぎなのに能楽師になれなかったらどうしよう…。
お囃子のお稽古では厳しく叱る先生も中にはいらっしゃいます。
「やめたいやつは、やめちまえ!」
と怒鳴られるたびに、やめたくない、やめたくないけど…という苦しみがしばらく続きました。