小鼓草子2020

小鼓方観世流能楽師岡本はる奈のブログです。舞台・ワークショップ・稽古場案内と日々の出来事など。横浜、相模大野、東京杉並区にて小鼓指導しております。フランス語版ブログhttps://notesdunkotsuzumi.blogspot.com/

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浜松にいます。

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静岡は浜名湖にて、沖のカモメ

「なにしおわば いざこととわんみやこどり わがおもふひとは ありやなしやと」
その名を持つならば、尋ねてみよう都鳥よ、私の愛しい人は 息災なのかと

「都鳥」は今のユリカモメに該当するという説が有力なようです。
昔は京都にはいなかったとか。
「善知鳥」でもそうですが、昔の話に出てくる鳥が何の鳥かは結構難しい。

能の曲の中でも「都鳥」は出てきます。
ユリカモメやミヤコドリなどに當ると言われますが「隅田川」では曲中で

「うたてやな浦にては都鳥とも言え鴎とも言え。などこの隅田川にて白き鳥をば都鳥とは答え給わぬ」
嫌なことだ浦では都鳥とも鴎とも言うとも、
どうしてこの隅田川で白い鳥を都鳥とはお答えにならないのか

と、言っています。

能の中で、現在能と呼ばれる生きている人間が主人公のものは
子どもとはぐれて、母や父が探すものや
恋人を探してさまようものなどが沢山あります。
大抵は最後に出会えてハッピーエンドなのですが
隅田川」は悲劇に終わります。

私が上京して初めて観た能も「隅田川」でした。
(遠征して単位を取りに行った東京芸術大学の授業の最後が能楽鑑賞。)
それから何度も観た曲ですが、何度観ても良い曲だと思います。